海外情勢

中国が海外マネーの流出警戒 米国債の利回り・ドル上昇が金融安定を脅かす

 中国による外国資金呼び込みの取り組みは昨年、ようやく功を奏した。ニューヨークやロンドンの投資家が中国の株式や国債を積極的に買い入れ、中国は世界市場での地位を固めた。

 各国・地域の中央銀行が世界経済の急降下に対して前例のない刺激策で対応する中で、新型コロナウイルス禍での中国経済の強靱(きょうじん)さと高利回り資産は魅力的に見えた。

 外国勢による中国株保有は約3兆4000億元(約56兆4400億円)と前年から62%増加、債券市場では約3兆3000億元と47%増えた。人民元は四半期ベースで10年余りで最大の上げを記録。ギャブカル・ドラゴノミクスによれば、外国人投資家は今年1~2月にさらに535億ドル(約5兆7670億円)相当の中国債を買い越した。

 しかし今、中国共産党を悩ませているのは、こうした外資の流入とその影響だ。中国は以前から、特に2015年の元切り下げ後、資本移動がもたらすリスクに強い懸念を抱き、厳しい規制を維持してきた。現在の資金流入規模は、中国を資産バブルに陥れる危険性をはらむ。資金流出に転じ始めれば、バブルははじけ得る。

 ロンドン大学クイーン・メアリー校グローバル政策研究所のパオラ・スバッキ教授(国際経済学)は「こうした需要は管理するには大きくなり過ぎ、金融の安定に圧力がかかり始めた瞬間、もしくは金融の安定に対する脅威やリスクが生じた瞬間、抑制されることになる」と述べた。

 新型コロナのパンデミック(世界的大流行)に伴う世界的な景気刺激策はある意味で、中国を自らの成功の犠牲者にしている。

 国際決済銀行(BIS)のアジア諮問会議(ACC)は昨年11月の報告書で、資本動向がもたらす影響を分析。作業部会に参加した中銀12行の一行、中国人民銀行は「急激な為替レート変動と大規模な資本移動は金融安定を脅かし、実体経済に悪影響を及ぼす」と注記した。

 こうした懸念は既に中国本土市場で表面化しつつある。米経済が力強く成長するとの期待から、米国債の利回りが上昇し、中国国債のプレミアム(上乗せ利回り)は昨年11月の記録的水準から約1ポイント縮小。ドルが上昇する一方で、元は3月に1%を超える下げとなった。本土株の指標CSI300指数は今年の高値から10%余り下落している。

 ブルームバーグ・エコノミクスの曲天石エコノミストは「流出は常に重大な懸念事項だ。市場環境がいったん変化すれば、特にホットマネーの流入が流出に転じるのではと当局が気をもんでいる可能性がある」と語った。(ブルームバーグ Sofia Horta e Costa、Enda Curran)

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