海外情勢

ESG投資“税優遇クラブ” ウォール街、話題のBOA決算に倣え

 バンク・オブ・アメリカ(BOA)が1月に発表した昨年10~12月期決算に盛り込まれた情報開示が米金融業界の話題をさらった。

 環境・社会・ガバナンス(ESG)関連プロジェクトへのファイナンス活動で、2020年の法人税率が21%になるところ、5.8%で済んだというのだ。

 新たに1兆ドル投入

 再生可能エネルギー関連の法律に詳しいフォス・アンド・カンパニーのディレクター、ブライエン・アルペリン氏によれば、「大手地方銀行の幹部が感嘆し『われわれもこれをすべきだ』と言ってきた」という。

 実際、ほぼ全ての金融機関が右に倣えという状況だ。JPモルガン・チェースは4月、今後10年間で少なくとも2兆5000億ドル(約271兆円)相当の持続可能で気候に優しい案件をファイナンスし促進すると表明。BOAは1兆5000億ドルの目標を設定し、シティグループとモルガン・スタンレーはそれぞれ1兆ドルを投入するとしている。

 数兆ドル規模の新たな「ウォール街ESGクラブ」だ。アナリストによると、監督当局を喜ばせ、株主や活動家に感銘を与え、善いことをし、税負担を減らすための金融機関側の取り組みということになる。

 格付け会社フィッチ・レーティングスで銀行の分析を担当するクリストファー・ウルフ氏は「変化する状況に先んじる必要が金融各社にはある」と指摘。バイデン政権はエネルギーや気候をめぐる方針の変更だけでなく、大企業に課す税率を21%から28%に引き上げることも提案している。

 BOAの年次報告は、手頃な価格の住宅や再生可能エネルギーなどのプロジェクトで国内法に定められた投資家向けの税額控除に言及。昨年の納税額を30億ドル減らしたとしている。

 アルペリン氏は「ESG投資は思いつきのヒッピームーブメントのような類いではない。ビジネスに好ましい」と話した。

 誰もが異なる定義

 ただ、金融機関の発表は全てが新しかったり、全てがグリーンだったりするわけでもない。

 サンライズ・プロジェクトでグローバル気候戦略を統括するジャスティン・グアイ氏は銀行が約束した資金について、どのように使われるか注視している。

 「誰もが持続可能に関し異なる定義を持っている」と説明、「各行が化石燃料にどれだけの資金を投じているのかを考えると、これらの投資がいずれも単に再パッケージ化され、『グリーンウォッシュ』された化石燃料投資ではないことを、金融機関は証明する責任があると思う」と語った。

 シティのフレーザー最高経営責任者(CEO)は4月22日に行われた気候変動サミットに際しホワイトハウスで「実際の行動と測定可能な結果でわれわれのコミットメントを裏付ける」とスピーチした。同社やモルガン・スタンレーなど世界の40を超える金融機関が、ポートフォリオから公害を生む資産を減らし、50年までに温室効果ガス排出を実質ゼロにする取り組みに署名している。(ブルームバーグ Max Abelson、Lananh Nguyen)

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus