海外情勢

最大の石油パイプラインにサイバー攻撃 米東部、燃料調達に暗雲

 米国最大の石油パイプラインがサイバー攻撃を受けて操業を停止してから約2日間が経過し、取引会社や輸送業者は米東部で燃料不足に陥る可能性にますます神経をとがらせている。

 先物一時4.2%高

 運営会社のコロニアル・パイプラインは9日、パイプラインの復旧計画を依然として策定中だとし、安全性を確保し連邦規制を全面的に順守した上でのみ再稼働すると説明。コロニアルのシステムの主要部分は全てまだ操業停止の状態にあるとした。このパイプラインはニューヨーク地域にとって極めて重要な供給源。ガソリン先物価格は9日の電子取引で一時4.2%高となった。

 今回のサイバー攻撃は米国のエネルギー産業が夏の旅行シーズンの燃料需要増加に備える中で発生した。パイプライン操業停止に伴う混乱が長期化すれば、全米ガソリン平均価格は2014年10月以来の1ガロン=3ドル突破となる恐れがある。

 全米自動車協会(AAA)によれば、全米のガソリン平均価格は7日時点で2.96ドルだった。

 市場関係者によると、システム再開時期がほとんど見通せない中、燃料取引会社は既に、本来ならコロニアルのパイプラインで送られていたはずのガソリンを輸送するための船舶を探しており、操業停止が長引く場合に備えガソリンを一時的に貯蔵するためのタンカーを一部確保しているという。関係者は部外秘情報だとして匿名を条件に話した。

 「ダークサイド」が盗む

 コロニアルはITシステムの一部にサイバー攻撃を受け、7日遅くに同社システムの運用を全て停止していた。

 事情に詳しい複数の関係者によれば、ハッカーは6日にコロニアルに対する攻撃を開始。大量のデータを盗み出した上で、コンピューターをランサムウエアでロックし金銭を要求した。

 コロニアルの調査に関与する関係者2人の話では、ハッカーは「ダークサイド」と呼ばれるサイバー犯罪集団の一員で、6日にわずか2時間で同社ネットワークから100ギガバイト近いデータを盗んだという。

 コロニアルへのサイバー攻撃は重要インフラがランサムウエアの標的とされた最新の事例だ。配電網や病院など社会に不可欠なサービスに対するハッカーの不正侵入が増えており、ホワイトハウスは先月、高まる脅威に対応するため公益事業とそのサプライヤーのセキュリティー強化計画に乗り出していた。

 レモンド商務長官は操業停止が続く中での連邦政府の対応について、「できるだけ早急に操業が再び正常化され供給に混乱が生じないようコロニアルや州・地方当局と緊密に協力している」と説明した。(ブルームバーグ Sheela Tobben、Jeffrey Bair)

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