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「空の道」整備に自治体始動 ドローン活用、集落の生活守る

 地方自治体が企業と連携し、小型無人機ドローンを活用した荷物配送の可能性を探る動きが出ている。高齢化が進む集落の生活基盤を守るのが狙いで、地場産業に育てる思惑もある。政府は2022年度にドローンの飛行可能範囲拡大を目指す方針で、「空の道」整備に注目が集まりそうだ。

 「空を生かして地域の課題を解決し、運航企業誘致も生み出したい」。佐賀県多久市民による任意団体「多久市まちづくり協議会」の笹川俊一さん(38)は力を込める。

 四方を山に囲まれた多久市の人口は約1万8000人。うち65歳以上の高齢者は7000人近くを占める。運送業者のドライバー不足に加え、運転免許を返納する高齢者もおり、「買い物難民」問題は課題の一つだ。笹川さんはベンチャー企業トルビズオン(福岡市)と連携し、集落と市街地をドローンで結ぶ実証実験を始めた。

 民法では「土地の所有権は上下に及ぶ」と規定。航空法は土地所有者の同意を必要としていないものの、機体が増えればトラブルにつながりかねない。そのため、笹川さんは地権者を訪ねて上空の飛行許可を得て回った。これまで病院と患者の自宅などを結ぶ空路計6本を確保。年内に10本まで拡大したい考えだ。

 増本衛社長は「列車に線路が必要なように、町に優しい空路を設定することが本格運用につながる」と強調する。

 集落が点在する島根県美郷町では、機体の充電にも使えるよう、公民館など6カ所に蓄電池や太陽光パネルの設置を進めている。

 政府は操縦者の目の届かない距離で市街地上空を飛行させる「レベル4」実現に向け、航空法改正案の今国会成立を目指す。自治体の動きは、こうした法改正も見据えており、17年に産学官による協議会を発足した大分県では200社超が開発支援や情報共有を進めてきた。

 課題は人口が少ない地域での収益確保だ。長野県伊那市は20年8月、ケーブルテレビを通じて注文を受けた日用品を山間部の住民に届ける事業を、全国に先駆け実用化した。月額1000円で利用でき、約60世帯が登録する。

 運営は民間企業に委託するが、市は年間約4000万円の予算を組み、人件費などを補助している。関係者は「軌道に乗るまでは自治体負担も必要だろう」と語る。

 運航費用の抑制策も必要で、大分県新産業振興室は「例えば、1カ所の操縦センターで県内各地の機体を遠隔操作する仕組みができないだろうか」と模索している。

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