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岸田氏、再起へ苦難の道 「政治とカネ」で発信強化も派内結束どこまで

 4月の参院広島選挙区再選挙で公認候補が敗れた自民党の岸田文雄前政調会長(衆院広島1区)が再起に向け、苦難の道を歩みだした。敗因となった「政治とカネ」をめぐり二階俊博幹事長に党として説明責任を果たすよう要求。岸田派(宏池会)も次期総裁選出馬を目指す岸田氏を「臥薪嘗胆(がしんしょうたん)」の思いでもり立てる考えだが、宏池会は危機のたびに分裂してきた歴史があり、結束が問われる局面ともなっている。

 「『政治とカネ』は広島だけの問題ではなく、全国の選挙に影響する話だ。しっかり提言していきたい」

 岸田氏は13日、都内で開かれた岸田派会合でこう訴え、党の信頼回復を目指す考えを重ねて強調した。12日には二階氏を訪ね、再選挙の発端となった令和元年7月参院選で河井案里元参院議員側に党本部から提供された1億5千万円の具体的な使途に関する国民への説明を要請。今後もこの問題の発信に努める考えだ。

 宏池会出身の池田勇人、宮沢喜一両元首相を輩出した金城湯池である広島の再選挙に敗れ、党内には岸田氏の指導力を疑問視する声も少なくない。だが、逆風が予想されながら県連会長の職を引き受け、選挙戦の先頭に立ったことに「火中の栗を拾った」(党幹部)との前向きな評価もある。

 岸田派は4月28日に臨時会合を開き、「広島の選挙のやり方は甘かった」との指摘も出たが、若手が「全力で岸田さんを支えていこう」と呼びかけると、「そうだ」とのかけ声が上がった。別の議員は再選挙について、徳川家康が不利を承知で強敵の武田信玄に挑んだ合戦になぞらえ「『三方ケ原の戦い』にしなければダメだ」と話す。家康は合戦に敗れた教訓を踏まえ、後に天下人になった。

 岸田氏も再起を見据え、派閥を超えた経済政策勉強会の立ち上げを模索。閣僚経験者ら約20人が参加を検討しているという。

 ただ、過去には重要な局面で派が分裂した苦い記憶もある。「宏池会のプリンス」と呼ばれ、首相候補だった加藤紘一元幹事長が平成12年に森喜朗内閣の退陣を求めた「加藤の乱」では、加藤氏の支持と不支持をめぐり派が割れた。

 現在も波乱要因はある。岸田氏とたもとを分かち、派の名誉会長を退いた古賀誠元幹事長が再選挙中、全国紙で「岸田文雄さんには申し訳ないが、日本のたった一人の指導者を決めるということは、同じ派閥だから、友達だからというような生易しいものではない」と語った。菅義偉首相と気脈を通じる古賀氏が派内で再び影響力を強めようとする可能性もある。

 岸田氏は13日、記者団に「今は国難の時だ。政府与党が一致結束して取り組まなければならない」と述べ、新型コロナウイルスの感染が拡大する状況では菅政権を支える考えを示した。自身の総裁選出馬については「チャンスがあればまた挑戦したい」と強調したが、まずは約30年遠のく宏池会の「首相誕生」に向けた派の結束が必須となる。(永原慎吾)

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