海外情勢

アムール川初の国際鉄道橋 ロシア、対中関係深め輸出拡大へ

 ロシア極東を流れる大河、アムール川(中国名・黒竜江)を渡り対岸の中国と結ぶ初の国際鉄道橋と道路橋が開通を控えている。これまで夏は船、冬は凍結した川に仮設の橋を設けてトラックで物資を運んできたが、隣り合う中国との経済関係が深まる中、ロシア側には架橋をきっかけに天然資源などの輸出拡大につなげる狙いがある。

 これまで、中露国境を列車や車で越えられる地点は4000キロにわたる国境線の東西端近くに偏っていた。橋の構想自体は古くからあったが、ロシアが2014年のクリミア編入後に欧米からの制裁を受け、制裁に加わらなかった中国と接近する「東方シフト」を強める中で計画が加速。16年に2本の橋が着工した。

 極東開発を統括するトルトネフ副首相は今年3月中旬、ユダヤ自治州ニジュネレニンスコエと中国の同江市を結ぶ全長2.2キロの鉄道橋を視察。8月に開通させ「需要に応じて物流ターミナルも整備する」と語った。鉄鉱石や石炭、肥料、木材の輸出を増やし、輸送量は年520万トン、シベリア鉄道の支線改修後は2000万トンに増えると期待する。

 上流のアムール州の州都ブラゴベシチェンスクには19年に全長1.1キロの道路橋が完成。対岸の中国・黒河市との結び付きが深く、フェリーが往来し、中国向け天然ガスパイプライン「シベリアの力」も通過する貿易拠点になっている。ただ、新型コロナウイルス流行後に国境管理が強化されたあおりを受けて、橋は開通待ちの状態が続く。

 ロシアNIS経済研究所(東京)の中居孝文副所長は「14年以降、中国との経済関係強化が極東開発を左右する大きな要素になった」と指摘する。アムール州での天然ガス化学工場や中国資本による極東の農業開発により国境を越えた物流需要が生まれ、脆弱(ぜいじゃく)だった国境物流インフラの整備につながったと分析した。(ウラジオストク 共同)

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