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新潟拠点に路線開設を目指すLCC、資金調達がカギ 海外航空機メーカーが後押しも

 新潟空港を拠点に関東や関西、中部地区などを結ぶ路線の開設を目指す格安航空会社(LCC)の「トキエア」(新潟市中央区)。将来的には関東-佐渡線就航も検討している。同社などが4月に開催した企業向けセミナーでは、海外航空機メーカーの日本代表が社を挙げてトキエアを支援していくとアピール。来年中の運航開始を目指す同社にとって、資金調達が最大の課題となる。(本田賢一)

 着々と準備

 トキエアは、2月に本社を東京から新潟市中央区に移し、仏ATR社製のターボプロペラ機2機のリース仮契約を済ませるなど準備を進めている。新潟空港を拠点に佐渡、仙台、愛知エリア、関西エリア、関東エリア、札幌エリアの6路線への就航を計画しており、「当初は6路線より減らして運航を開始する予定」(トキエアの長谷川政樹社長)という。

 新潟県が管理・運営する佐渡空港については滑走路の長さが890メートルと短い。ATR社が現在、860メートルの滑走路でも離着陸できるターボプロペラ機の開発を進めており、新潟-佐渡線はこの開発を待ってから具体化することになる。

 将来の年間輸送人員は53万~60万人(搭乗率75~80%)を見込む。コロナ禍で航空業界を取り巻く環境は厳しいが、長谷川氏は公益財団法人日本交通公社が公表した調査結果を元に「ポストコロナでは地域航空が一定の役割を果たす」とみている。

 調査では新型コロナウイルス感染症の収束後、国内旅行に行きたいとする人が約7割を占めた。長谷川氏は国内旅行の需要が今後増え、その恩恵が地域航空会社にも及ぶとみる。

 また、トキエアは旅客機の運用にあたり、カーゴフレックスと呼ばれる仕組みを導入する計画だ。これは一晩のうちに、客席の一部を貨物スペースに変更したり、増やした貨物スペースを客席に戻したりできるもの。旅客と貨物を効率的に運び、収益力を強化する。この仕組みは災害時の物資運搬にも役立つ。

 関東-佐渡も視野

 将来的には、関東-佐渡路線も視野に入れている。県と佐渡市が「佐渡島(さど)の金山」について、令和5年中の世界文化遺産登録を目指しており、「世界遺産に決まれば、関東圏から佐渡を訪れる観光客の増加が期待できる」(長谷川氏)からだ。

 問題はどの空港から飛ばすかだ。航空行政に詳しい専門家は「ジェット機の離着陸が非常に多い羽田空港から速度の遅いプロペラ機を飛ばすのは難しい。成田空港も混雑しているため、離着陸の時間に制約が出てくるだろう。茨城空港(茨城県小美玉市)なら就航可能性はあるが、空港へのアクセスが課題になる」と指摘する。

 課題は資金調達

 新潟市とトキエアは4月6日、航空機産業に関心のある企業を集めてセミナーを開催した。席上、ATR社日本代表の好田二朗氏は「ATRは機体を提供するだけでなく、トキエアが成長するための支援も行っていく」とアピールした。

 トキエアにとって最大の課題は資金調達だ。長谷川氏は「航空機リースの本契約を結ぶといよいよ機体がやってきて、運航に携わる人材採用などにかなりお金がかかる」と説明する。

 同社の資金調達の目標は約30億円。約21億円の出資を募り、融資で9億円を調達する計画だ。長谷川氏に調達状況を聞くと「頑張って調達しているがもっと頑張らなくてはいけない」とのこと。

 絶滅の危機を乗り越えて佐渡の空を舞う特別天然記念物トキのように、トキエアも計画通り新潟の空を舞い、地元経済を活性化してくれることを期待したい。

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