海外情勢

比、凍結鉱山の開発解禁 コロナ禍の税源確保へ政府強行

 フィリピン政府はこのほど、2012年から凍結してきた鉱山の新規開発を9年ぶりに解禁した。新型コロナウイルス禍で税収が1割以上減っており、民間企業に開発を促して税源確保につなげる狙い。環境面での懸念の声も出ているが、経済立て直しが最優先の政府に耳を貸す様子はない。

 ドゥテルテ大統領が4月、凍結解除の大統領令に署名した。政府によると、フィリピンでは採掘可能な鉱物資源の5%未満しか利用できていない。開発を今後促進すれば、経済回復に大きく寄与すると判断した。

 12年に凍結を決めたのは当時のアキノ大統領。環境保護などが狙いだったという。後任のドゥテルテ氏も、鉱山の土砂崩れなどで80人以上が死亡した18年の台風の際、採掘の収益は災害の損失に比べて「取るに足りない」とし、鉱山を重視していなかった。

 方針転換を迫ったのは新型コロナだ。経済停滞で税収は19年の2兆8278億ペソ(約6兆4756億円)が20年は2兆4328億ペソ(速報値)と14%減った。鉱山開発の解禁により約100件の計画が進み、約210億ペソの歳入増加が見込まれ、政府はその後も増収につながると期待している。

 業界は沸き返っている。フィリピン鉱業会議所は「業界が社会経済的な成長に貢献するための大きな障害が取り除かれた」との声明を発表。農村地域での雇用創出にもつながると強調する。

 一方、国内の環境保護団体は強く反発。開発により周辺地域が危険にさらされるとして「愚かな方策」と批判するが、政府高官は「環境法令は順守する。鉱山開発の再開は財政問題を解決する手段の一つなのだ」と意に介していない。(マニラ 共同)

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