海外情勢

コロナ拡大のインド、モディ政権に逆風 宗教行事、選挙活動規制せず

 【シンガポール=森浩】インドで新型コロナウイルス感染拡大が深刻化し、モディ首相への批判が強まっている。宗教行事や選挙活動などで規制を怠ったとして、モディ氏の支持率は低下傾向にある。国産ワクチンの輸出で、国際社会での存在感向上を目指すモディ氏だが、国内の反発拡大が政権の基盤も揺るがしかねない事態になってきた。

 インドでは昨年9月ごろに感染「第1波」があり、いったん拡大を押さえ込んだかに見えたが、今年3月下旬から再び上昇に転じた。今月14日午前までの24時間に約34万人の新規感染を確認。累計死者数は26万人を超えた。火葬用の薪が高騰し遺体遺棄も続出。東部ビハール州のガンジス川で10日、71の遺体が浮かんでいるのが見つかった。

 こうした状況は高い人気を誇ったモディ氏への逆風になった。米調査会社「モーニング・コンサルト」によると、11日時点のモディ氏の支持率は63%。4月上旬と比べ、10ポイント程度、下落した。野党陣営や医療専門家はモディ政権が適切な感染防止対策を取っていないと批判を強めている。

 とりわけ非難が集中しているのが、人が密状態になる集会が容認されていたこと。4月にはガンジス川で身を清めるヒンズー教の祭典「クンブ・メーラ」が実施され、数百万人が参加した結果、大規模なクラスター(感染集団)発生につながった。モディ氏率いるインド人民党(BJP)はヒンズー教信者が支持層なだけに、重要な宗教行事で厳しい規制は難しかった。

 また、3~4月には国内5州で地方議会選が実施され、モディ氏らBJP幹部が現地入りし、各地で選挙集会も行われた。「(第1波の後)モディ政権は『インドは新型コロナを打ち負かした』と本気で信じていた」とシンガポール国立大学南アジア研究所のロノジョイ・セン氏は、その後の気のゆるみを指摘した。

 批判の高まりに対し、モディ政権は会員制交流サイト(SNS)上での批判的なコメント削除を要請するなど“言論統制”に乗り出した。しかし、複数の批判投稿が削除された結果、さらに強い反発も招いた。

 BJPは2019年の総選挙で大勝し、全国的に支持層は厚い。ただ、地元紙ヒンドゥスタン・タイムズは、「国民の間に政策実行能力に不信感が生まれている。感染第2波は、モディ政権の負の遺産になるかもしれない」と分析した。

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