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能登の風力発電増設に住民反発、環境アセス着手 自然破壊など懸念

 既に風力発電用の風車が約70基ある石川県の能登半島に、さらに170基超を設置する計画が進んでいる。脱炭素を目指す政府方針を追い風に、県外の民間9社が名乗りを上げ、環境影響評価(アセスメント)手続きに着手した。

 一方で住民は、国連食糧農業機関(FAO)の世界農業遺産にも認定された能登の環境破壊や騒音被害を懸念し、反対の声を上げ始めた。

 「能登はエネルギー植民地なのか」。4月13日、県庁を訪れた七尾市の社会福祉士、三村紀美子さんの声が会議室に響いた。ほぼ同じ地域に2社が計約30基の設置を計画。環境への影響を懸念した三村さんら住民は県に対し、アセス手続きの中で反対意見を出すなどして中止させるよう求めた。

 しかし、応対した県職員はアセスの手順の説明に終始し、県として賛成か反対かは態度を明確にしなかった。三村さんは「再生可能エネルギーの言葉の裏に環境破壊が隠されている」と訴える。

 風力を含む再生エネの導入は、東京電力福島第1原発事故の翌2012年、政府が電力会社に固定価格での買い取りを義務づける制度(FIT)を開始して拡大。石川県内の電力関係者は、FITの見直し議論が19年ごろから本格化したため、駆け込みで計画が集中したと分析する。

 七尾市などで発電所の設置を計画する電力大手の電源開発(Jパワー)は4月23~24日、住民説明会を開催。菅義偉首相が22日の気候変動サミットで新たに打ち出した温室効果ガス排出削減目標も引き合いに理解を求めた。

 だが、住民からは「再生エネには賛成だが、なぜ能登なのか」「金もうけしたいだけでは」と批判が相次ぎ、両日とも午後7時に始まった説明会は3時間近く続いた。同社の広報担当者は「住民の意見を踏まえ、理解を得ながら進めていきたい」とコメントした。

 小高い山に囲まれ、約160人が暮らす七尾市中島町藤瀬地区。今年1月の総会で、風車建設に反対することで一致した。04~06年に10基が設置され、住民は深夜も風を切る音に悩まされているという。居酒屋を営む丸山英邦さんは「虫や鳥の声が聞こえる暮らしが好き。今でも大変なのに、なぜさらに風車を造るのか」と憤った。

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