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米国債、発行急増も安定保有で金利上昇抑制

 米長期金利は、新型コロナウイルスワクチン接種の進展や経済対策による景気回復期待を背景に、昨年末の0.9%台から今年3月中旬には1.7%台半ばに上昇したが、その後は1.5%台後半で推移している。金利上昇が一服した原因として、金利上昇材料の出尽くし感に加え、米国債の主要な投資家の安定保有姿勢が挙げられる。

 コロナ禍による財政拡大により、米国債残高は2019年末の19兆4000億ドル(約2121兆3900億円)から20年末の24兆5000億ドルに2割以上増加したが、増加分の過半は米連邦準備制度理事会(FRB)の保有増により消化された。景気回復に伴い、金融緩和の早期縮小観測が浮上しているが、FRBは雇用回復に時間を要することなどを理由に国債の買い入れペースを維持しており、残高は長期にわたって維持される見通しである。一方、最大保有者である外国人投資家は、1位日本、2位中国となっているが、多くが外貨準備資産として購入されており、両国通貨が底堅い中で、米国債の安定保有が期待できる。

 また、米銀行の国債保有を促進するため、昨年4月に安全性基準である「補完的レバレッジ比率(SLR)」の算定にあたり、分母の金融資産から保有国債を除外する緩和措置がとられた。この措置は1年後の今年3月末に終了したが、懸念された銀行の国債売却による金利上昇はみられなかった。米銀では、家計給付などにより預金が大きく増加する一方、景気悪化で貸し出しが伸び悩んでおり、米国債は安定的な運用先として重要度を増している。

 今後は景気回復やインフレ率の上昇によって金利上昇圧力が強まることが見込まれるが、一定の安定保有が期待されることから、国債大量売却による金利急上昇は抑えられるとみられる。(日本政策投資銀行 経済調査室副調査役 岳梁)(編集協力=日本政策投資銀行)

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