海外情勢

マニラ路上の盆栽売り奮闘 信号待ちドライバーが顧客に

 慢性的な渋滞で知られるフィリピンの首都マニラでは、信号待ちしている車に物売りが近付く光景がよく見られる。品物は飲み物や菓子が多いが、まれに盆栽を売る人の姿も。「鮮やかな緑で心を癒やしてほしい」。新型コロナウイルス禍による不況で売り上げは伸び悩むが、生き抜くために路上で奮闘している。

 マニラ北部の幹線道路。午後の日差しにじりじり照らされ、熱くなった車道を30代のメアリージーン・ブルヌイさんが歩く。頭の上には木の板に載せた盆栽が9個。両手で板を支えながら、両側に止まっている車の運転手らにアイコンタクトを送って反応を探る。

 「関心ありと判断したら、すかさず一つを手に取って窓越しに見せてあげるのがこつなの」。価格は大きさによって異なるが、おおむね1300ペソ(約3000円)。友人を通じ、盆栽専門店から仕入れている。

 車道で盆栽を売る珍しさからか視線が集まっているのは感じるものの、売り上げには直結していないという。「新型コロナの影響で、みんな財布のひもが固くなっているみたい」。コロナ禍以前は1日に5~7個は売れたが、最近は1~2個がやっととこぼす。

 10歳の息子がいるシングルマザー。家政婦や工場勤務などさまざまな仕事を経験した後、5年前、努力に応じて収入が増える盆栽売りに転じた。休日はなく、毎日午前9時から午後5時まで数人の盆栽売り仲間と働く。

 マニラで盆栽専門店を営む50代のジョン・バラアンさんによると、フィリピンで盆栽は「BONSAI」と呼ばれ、親しまれている。ただ、じっくり見て選べる専門店でも商売には苦戦中で「コロナ不況の今、あえて盆栽を買う人は少ない」と表情はさえない。

 それでもブルヌイさんは前向きだ。「気分が沈むときだからこそ、盆栽を眺めて心に余裕を持ってほしい」。今日も車の間を歩き続ける。(マニラ 共同)

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