5時から作家塾

ベルセルク作者逝去を中国からも惜しむ声と「中国ファンはかわいそう」の意味 (2/2ページ)

 進撃の巨人やデスノート、寄生獣など38のアニメがブラックリスト

 さて、同じ理屈で、中国大陸在住者が香港版コミックスを個人輸入する分には、現時点では罪には問われない。

 「香港版を取り寄せて読んでいる人は少ないと思います。特に中国人が発禁本を所持していると色々な『理由』にされてしまうこともあるので…」(大連の日本語書店)

 コロナ禍の今、デジタル権威主義強化へ邁進する習近平政権が2015年に行ったのが、中国文化保護政策。その一環で国内産業を保護、育成するために日本の人気アニメのテレビやネットでの配信を禁止した。

 禁止したのは、進撃の巨人やデスノート、寄生獣など38のアニメがブラックリストとなった。理由は、残虐性や性的描写など青少年への悪影響を及ぼすからだったが、本当の理由は、長期的な国内産業の育成だったとされる。

 「アニメ版がダメということは、コミックス版も同時にダメということです」(同)

 中国国内では、日本や欧米のように年齢指定を設けて視聴を制限すればいいとの意見もあるようであるが、まったく進んでいない。なぜか、そもそも青少年への悪影響は、とってつけたような方便に近い理由で、禁止自体が目的だったからだろう。

 50年後の日本の教科書には…

 日本から見ると、インターネットやアニメ、ゲームへの度を越えた規制をする中国はとんでもない国となるが、真似ようと、剽窃しようと中国は着々と似たような国産ソフトコンテンツを次々と作っている。今では日本人が中国産のゲームで遊び、アニメを見る時代になっていることからもわかる。

 日本は便利さを優先した結果、プラットフォームや多くのハードウェア、ソフトウェア、サービス、個人情報までもGAFAと呼ばれる米IT企業に牛耳られ、日本自前のサービス、企業は数少なく弱々しい。

 中国政府を肯定したりや称賛したりする気は毛頭ないが、誤解を恐れずに書くと、もしかすると50年後の日本の教科書には、「中国政府の政策は、海外製品やサービスを禁止することで、国内産業を保護・育成した。結果、中国発の世界的なサービスやコンテンツが誕生するなど中国の国益のためには正しい政策だった」などと書かれてしまうのかもしれない。

 いつか中国からベルセルクに匹敵する作品が…なんて日も来てしまうのだろうか。(筑前サンミゲル/5時から作家塾(R)

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5時から作家塾(R) 編集ディレクター&ライター集団
1999年1月、著者デビュー志願者を支援することを目的に、書籍プロデューサー、ライター、ISEZE_BOOKへの書評寄稿者などから成るグループとして発足。その後、現在の代表である吉田克己の独立・起業に伴い、2002年4月にNPO法人化。現在は、Webサイトのコーナー企画、コンテンツ提供、原稿執筆など、編集ディレクター&ライター集団として活動中。

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