海外情勢

「同盟の力で脅威に対抗」米次期中国大使が公聴会で証言

 【ワシントン=大内清】バイデン米大統領から次期駐中国大使に指名されたニコラス・バーンズ元国務次官は20日、上院外交委員会の承認公聴会で証言した。急速に強大化する中国との大国間競争が「数十年にわたる」との認識を示し、その脅威に対抗するために「日本や欧州をはじめとした同盟の力を結集する」ことが米国の基本戦略であるべきだと強調。「一つの中国」の原則を堅持しつつも、台湾の防衛力強化を支援していく必要があるとした。

 「21世紀最大の脅威であることは疑いようがない」

 中国による核戦力の増強や覇権的な海洋進出、巨大経済圏構想「一帯一路」を通じた各地への影響力浸透などについてバーンズ氏はこう言明した。

 一方で同氏は、中国には“弱点”もある、という。その最たるものとして公聴会で言及したのは、「中国には友人(と呼べる国)が極めて少なく、本当の意味での同盟国が存在しない」ことだ。

 北大西洋条約機構(NATO)大使を務めた経験もあるバーンズ氏は、中国が一帯一路を通じて東欧に浸透しNATO加盟国や欧州連合(EU)諸国の離間を図ってきたことや、不公正な商慣行を強いていることで、欧州での対中危機感が強まったと分析。東・南シナ海をめぐる近隣国との対立などでも、「中国はあまりに攻撃的に振る舞うことで自らへの抵抗を作り出している」とみる。

 こうした点からバーンズ氏は、バイデン政権の対中戦略について、日米豪印4カ国による「クアッド」や、米英豪3カ国の「AUKUS(オーカス)」など同盟関係をベースとした多国間の枠組みを機能させつつ、欧州との協力も深めていくことが有効だと指摘。「(世界の)国内総生産(GDP)の約6割にもなる米国と日本、EUなどが結束することで(中国を抑止する)強力なテコになる」とした。

 他方、公聴会では一部議員から、中国による台湾への威圧が強まっているのに対抗するため、台湾侵攻への対応を明確にしないとしてきた歴代米政権の「戦略的曖昧さ」を見直すべきだとの主張も上がった。これについてバーンズ氏は、戦略的曖昧さの見直しは結果的に中国の侵攻を誘発しかねないなどとする慎重論を念頭に「現在の方針維持が最も賢明だ」と述べた。

 またバーンズ氏は、中国が今後数十年にわたり人口減少や高齢化など「人口動態上の試練」に直面すると予想されることからも「中国の力を過大評価するべきではない」とし、「米国は同盟国とともに自信をもって振る舞うべきだ」と語った。

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