海外情勢

気候変動は国家安全保障の脅威、米情報機関など報告書 対中競争も意識

 【ワシントン=渡辺浩生】米情報機関を統括する国家情報長官室(ODNI)と国防総省は21日、気候変動が安全保障と外交政策に与える影響を分析した報告書をそれぞれ発表した。気候変動の影響やエネルギー競争が世界各地の地政学的な緊張を高め、国や地域の不安定化を招くなど米国の安全保障リスクを増幅させ、国防戦略にも波及すると結論づけた。中国への言及が目立ち、気候変動問題でも中国との競争姿勢をにじませた。

 ODNIは、安全保障リスクとして(1)エネルギーをめぐる国家間の競争激化が地政学的緊張を高める(2)気候変動の物理的な影響から自国の利益を守ろうと国境をまたぐ紛争の発火点になる(3)(政治・経済状況などが)懸念される国や地域の安定性を崩す-を挙げた。

 気温上昇の影響が深刻な地域としてアフリカや太平洋の島嶼(とうしょ)国、北朝鮮、アフガニスタン、ミヤンマー、イラク、ハイチなどを挙げた。中国が優位に立つエネルギー・資源、北極海の開発をめぐる競争が地政学的緊張を高めることも指摘した。

 国防総省の報告書は、異常気象や災害などが世界に展開する米軍の任務や装備などに与える影響を分析。オースティン国防長官は声明で「気候変動は戦略的な風景を変え、安全保障環境を変容させ、米国や世界の国々に複雑な脅威を突き付けている」と述べ、気候変動を国防政策の重要な要素とする考えを示した。

 報告書は気候変動問題を外交政策の柱に置くバイデン政権が作成を指示した。英国で始まる国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)を前に各国への警告となりそうだ。

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