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福祉で「儲けてはいけない」? 知的障害の「可能性」をビジネスに昇華させる双子経営者 (2/3ページ)

TOMORUBA
TOMORUBA

ーー苦労されたんですね。

崇弥:当時はビジネスの知識が全然なくて、在庫を背負うリスクも考えずに物販を選んでいましたからね。企業に営業に行っても、みんな「素晴らしい活動ですね」とは言ってくれるものの、誰も買ってはくれないんです。

まだ世の中にない試みだったので、どう価値を測ればいいのか分からなかったのだと思います。

ーー事業が成長したきっかけは何だったのでしょうか。

崇弥:起業して半年ほど経ったころに、パナソニックの仕事をさせてもらったことですね。当時、「Panasonic Laboratory Tokyo」という施設をオープンするタイミングで、壁紙やクッションを私達に依頼してくれたのです。

パナソニックの仕事をしたということで箔が付き、それからは営業しても買ってくれる企業が増えました。

ーーパナソニックの仕事を請け負えるなんてすごいですね。

崇弥:当時はパナソニックが運営するワークスペース「100BANCH」で仕事をしていたのですが、そこのイベントでピッチをしたことがきっかけです。私のピッチをラボラトリーの代表の方が聞いていて、私たちの商品を使いたいと言ってくれました。

今でこそピッチを繰り返して洗練してきたと思いますが、当時はまだ荒削りで、とにかく兄への想いを滔々と語るだけのピッチだったんですけどね。

何よりSDGsのためというより「単純にデザインが好きだったから」と選んでもらったのは嬉しかったです。

「納期の遅れ」もエンタメに 徹底した「福祉ファースト」

ーー今では自社ブランドを運営する他、仮囲いのプロジェクトや吉本とコラボしたブランド「DARE?」を展開するなど、多角的に活動されていますね。どのような観点からビジネスアイディアの着想を得ているのでしょうか。

崇弥:前職での経験、特に薫堂さんから大きな影響を受けていると思うのですが、「逆バリ」で発想をするようにしています。例えば「障害者が作ったもの=安い」という固定観念があるなら、高額なプロダクトを作ろうとか。

今は「障害者が働くソーシャルホテル」のプロジェクトを進行しています。そこで働くホテルマンたちは挨拶ができません。普通なら「挨拶もできないなんて」と思うかもしれませんが、それすらエンタメとして提供したいと思っています。

一般的に欠落だと思われているものに、どうしたら価値を見いだせるか模索するのがクセになっていますね。

文登:崇弥はアイディアが思い浮かぶとすぐに僕に電話してくれるので、僕はそのアイディアが本当に事業として成り立つか精査しています。実際に世に出ているのは、全体の3割くらいですかね。

どんなに面白いアイディアでも、継続的に収益が出なければ続けていけないので。

ーー二人三脚で事業を進めているんですね。双子で経営していてよかったと思うことはありますか。

崇弥:僕は何かを決断する時に必ず文登に相談しています。るんびにい美術館に行った時も、会社を辞めようと思った時もすぐに文登に電話して相談しました。忖度なく相談できる相手がいるというのは心強いですね。

文登:喧嘩をすることも多いですが、どんなに喧嘩をしても1 時間後には普通に話せるのは双子ならではだと思います。普通なら会社を辞めるような激しい喧嘩をした後でも、何事もなかったかのように話せます。

ーー経営メンバー同士で意見がぶつかることはよくあると思うのですが、参考になることがあれば教えて下さい。

文登:私達は崇弥が東京、僕が岩手に住んでいるので喧嘩するときも基本は電話越しです。喧嘩がピークに達したら、電話を切って冷静になるまで待ちますね。1時間もして落ち着いてから電話すれば、何事もなかったように話せます。

今はリモートワークで働いている人も多いと思うので、メンバーと喧嘩した時は試してみてください。

ーー福祉業界は「儲けちゃいけない」という意見が強いイメージがあるのですが、事業を進めていく上での軋轢などはありませんでしたか。

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