STARTUP STORY

福祉で「儲けてはいけない」? 知的障害の「可能性」をビジネスに昇華させる双子経営者 (3/3ページ)

TOMORUBA
TOMORUBA

文登:ありがたいことに、全国の福祉施設の方からは暖かく受け入れてもらっていますね。私達のビジョンに共感してくれる方も大勢いて「そういう活動が必要だと思っていた」と言ってもらっています。

競合がいなくて、無駄な競争をする必要がないことも、福祉業界と良好な関係を築けている理由の一つかもしれません。

崇弥:私達は全国20以上の福祉施設とライセンス契約を結んでいるのですが、良好な関係を続けるためにも、障害のある人たちに無理強いしないことだけは決めています。

もし納期が迫っていても彼らを急かすことはせず、僕らがクライアントに謝る覚悟で仕事をしていますし、実際にこれまで何度も頭を下げてきました。

私達は障害のある人たちのおかげで仕事ができているので「福祉業界ファースト」を貫いています。そのため、クライアントから依頼を受けてオリジナル作品を作る時は、予めバッファも長くとっていますし「納期を守れないこともある」と伝えています。

むしろ、「納期が遅れること」もエンタメとして提供したいと思っています。

ーーアート作品でビジネスをするのは再現性がなく難しいように感じるのですが、勝ち筋があれば教えて下さい。

崇弥:私達は原画を売ることもありますが、ほとんどは二次利用によるビジネスを展開しています。そのため、作品を選定するときも服やバックの「柄」になりやすそうなアートを選んでいます。

実は障害のある人のアートはこのビジネスに向いていて、彼らの作品は「繰り返しの表現」が特徴です。なので、服やバックの柄にも使いやすいんですね。

どういったアートがプロダクトに落とし込みやすいか見定めるのが、私達の勝ち筋です。

障害のある人の可能性のるつぼ「ヘラルボニー・タウン」

ーーこれからの活動について教えて下さい。

崇弥:中長期のお話をすると、3年後くらいに岩手に「ヘラルボニータウン」の設立を計画しています。先程話していたホテルを中心とした、テーマパークのような施設を作りたいんです。

今は「絵が描ける障害のある人」の個性は活かせていますが、みんなが絵を描けるわけではありませんし、僕らの兄も絵は描けません。

料理ができる、一芸がある、何でもいいので障害のある人たちの個性を活かせる場にできればと思っています。既に地元の銀行とも話を進めていて、実現に向けて動き出しています。

ーー最後に、そのような活動の先に思い描いているビジョンについても教えてもらえますか。

文登:例えば「マリメッコ」というブランドを聞いた時に、多くの方がデザインを想起できると思います。同じようにヘラルボニーと聞いて、デザインが想起されるようなブランドにしたいですね。

どうしても今は「障害者」という言葉が出ると「重い話題だな」という空気が漂ってしまいます。ヘラルボニーと知名度が上がることで「障害=欠落」ではなく、「障害=個性」だという文化を作っていきたいです。

崇弥:障害のある方はできないことがたくさんあります。しかし、だからといって社会に出れないわけじゃないですし、できることもたくさんあるんです。

ヘラルボニータウンのような場ができることで、障害のある人の「できること」にフォーカスが当たるような社会にしていければと思っています。

最終的には、「好きなことだけやっていたら、お金が稼げて生活できる」という新しい考え方を作っていける会社になりたいですね。

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