働き方

労組活動、コロナ禍で変容 ズーム交渉やスマホ活用

 新型コロナウイルスが流行する中、労働組合の活動が変わりつつある。かつては労使交渉も組合内部での議論も対面が当たり前だったが、ビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」の導入が進む。1カ所に集まるための交通費を節約できたり、時間を効率的に使えたりするメリットがある。スマートフォンを活用する組合も出てきた。

 「机のパーテーションが足りない。会社に増設を要請すべきだ」。1月末の日曜夜、「ゼネラルユニオン」(大阪)に加入する英会話学校大手ECCの外国人講師約40人がズームでつながり、要求案を確認した。

 コロナ禍前の2019年、愛媛県の支部が初めてズームを使用。愛媛と大阪にいる組合員、愛媛にある学校法人の3者を結び、団体交渉を進めた。法人側から「インターネット上にやりとりが公開されるのでは」と不信感を持たれたというが、トラブルはなかった。コロナの感染拡大で他のケースでもズームが浸透し、団交相手から「集合しないので労使紛争を他の従業員に知られずに済む」と歓迎されることもある。

 半世紀以上さまざまな団体で活動してきた浅利俊明委員長(72)は「労働運動の世界では『向き合って腹を割るべきだ』という考え方があったが、今はそう言い切れない」と指摘する。「関係書類のデジタル化が進み、記録も容易に検索できる時代。豊富な経験を持つ人がいなくても、客観的事例に基づく議論が可能になった」

 厚生労働省によると、雇用者数に占める労働組合員数の割合「推定組織率」は平成に入った1989年は25.9%。右肩下がりが続き、昨年は17.1%にとどまる。

 そんな中、昨年2月に結成された「みんなのユニオン」(東京)は組合員数を伸ばし、今年3月末には1900人を超えた。スマホで加入できる手軽さが売りで、雇用主に送る抗議文はスマホ画面の項目を選べば作成できる。

 執行委員の岡野武志弁護士は「ITを活用すれば、数多くの事案をこなせる」と語る。

 立教大の首藤若菜教授(労使関係論)は、こうした労組の変容について「家事や子育てに忙しい世代も活動に参加できる」と評価する一方、「オンライン化はあくまでも手段。ネット上のつながりだけでうまくいくほど簡単ではない」と話す。「一番大切なのは労働条件を良くするために声を上げ続けること」と強調し、対面での議論が必要な場合もあるとの認識を示した。

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