働き方

在籍出向がコロナ禍で2倍に 20年度3061人、失業者の急増回避で

 業績悪化で一時的に余剰となった従業員を、人手が必要な別の会社に出向させる「在籍出向」が2020年度は3061人と、新型コロナウイルス感染拡大前の19年度から2倍以上に増えていることが、事業者間のマッチングを行う産業雇用安定センターへの取材で分かった。

 コロナ禍で爆発的な失業者の増加を防ぐため、政府は助成金を新設するなど支援策を強化。昨秋、航空業界が家電業界に出向させる取り組みが紹介されたことがきっかけで急増した。

 在籍出向は、従業員が元の会社に在籍したまま、出向先とも契約を結んで勤務する仕組み。厚生労働省は、賃金を含めた労働条件は出向元と出向先、労働者で話し合って決めることを推奨。会社が在籍出向を命じるに当たっては、従業員の同意を得るか、賃金や労働条件について労働者の利益に配慮した就業規則を整備することを求めている。

 センターによると、19年度は1240人。20年度に入って4~10月は1カ月当たり約70~170人で推移していたが、11月に283人に増え、12月498人、2月503人、3月679人と増加傾向が顕著だ。

 具体的にはリゾートホテルからレストラン、食料品小売業から知的障害児入所施設、航空運送業から卸・小売業に在籍出向した事例があった。産業雇用安定センターの担当者は「これまでは同じ業種間が中心だったが、コロナ禍では異業種間が増えている」と分析する。

【用語解説】コロナ禍の雇用政策 新型コロナウイルス感染拡大による雇用情勢悪化に対応するため、政府は休業手当の一部を補填(ほてん)する雇用調整助成金を政策の柱に据え、日額上限や助成率を引き上げた。手続きも簡素化した。ただ、支給決定額は3月中旬までに3兆円を超え、財源が逼迫(ひっぱく)。休業長期化で働く意欲を減退させるリスクも指摘されており、雇用関係を維持したまま従業員を他社に送り出す「在籍出向」の推進に力点を置く。日額上限計1万2000円で賃金を出向元や出向先に補填する制度を新設して拡大を図る。

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