働き方

「課題はチャンス」コロナ禍で就活の新入社員をパラメダリストらが激励

 昨年度、新型コロナウイルス感染症により移動や会合が制限される中での異例の就職活動を乗り越えた学生らが4月、それぞれの希望する道へ進んだ。長野市で開催された企業合同の激励大会では、パラリンピック銀メダリストで特定非営利活動法人(NPO法人)理事長として活躍する上原大祐さん(39)が「課題は何かを変えられるチャンス。できないと言わず、ちょっとずつでも挑戦を続けて」と新社会人を勇気づけた。(原田成樹)

 激励大会は長野公共職業安定所、長野商工会議所などが主催。第1部では、「失敗を恐れていては前に進めない。原因を分析して二度と同じ失敗を繰り返さない企業人であってほしい」(北村正博・長野商議所会頭)、「積極的な姿勢で挑戦すると同時に多くの意見を吸収できる柔軟さを身に着けて困難を乗り越えてほしい」(土屋直樹・長野職安所長)、「さまざまな困難があると思うが、全ては神様が与えた試練と前向きに考えれば必ず福の神が来る」(加藤久雄・長野市長)と各界代表が新入社員を激励した。

 “できない”を打破

 続く第2部に長野県軽井沢町出身で、アイススレッジホッケー(現パラアイスホッケー)元日本代表、2010年バンクーバーパラリンピック銀メダリストの上原さんが登壇。会場に集まった64人とオンラインで参加した52人の新入社員に、障害者経験を基にアドバイスした。

 上原さんは、生まれながら障害を持ち脚が動かせないが、子供の頃、友達の自転車につかまって登校したり、母の協力で手漕ぎの自転車に乗ったりと、“できない”を打破してきた。

 アイススレッジホッケーでは米国のチームでプレーした経験を披露。身体が一番小さかったもののドリブルがうまかったため、パスのうまい選手につなぎ、シュートのうまい選手に届ける役割に徹したという。「チームワーク」の大切さとともに、「弱みよりも強みを最大限使う」ポジティブ思考を勧めた。

 また、障害者が使いやすいものを目指した結果、健常者にも使いやすいものになった例を紹介。「課題はチャンス」と、新入社員らを鼓舞した。

 内定率「例年並み」だが

 昨年度の長野県内の大学、短大、高専を合わせた大学等内定状況は、集計が終わっている2月末で91・1%。前年同期を0・5ポイント下回っているものの、長野労働局によると「例年並み」との判断で「悪化」には至っていない。就職内定者数が減っているが、少子化で卒業予定者数も就職希望者数も減っているためか深刻さは見えない。

 一方で、今春、長野市の建設会社に就職した増沢将弥さん(21)は、大変な一年だったと振り返る。

 増沢さんは、東京の専門学校最終年次だった昨年度、コロナ対策のため学校が6月まで開かず、就職活動の出遅れ感があったという。そのうえ学校には例年、1千近い企業から募集があるが、昨年度は約600社に減少。就活を始めてもなかなか決まらず、くじけそうになりながら続け、10月になってようやく決まった。

 「今年入れるかどうか分からないと思っていた中で採用してもらえた」と感謝の気持ちを表す増沢さん。同じように苦しんだ友人の中には、この年の就職をあきらめてしまった人もいるという。

 「例年並み」に見える内定率の裏には、統計上には表れないコロナ禍の苦渋が隠れているかもしれない。

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