働き方

女性活躍・ハラスメント規制法施行から1年 社会の関心・問題意識の薄れを懸念

 日本労働弁護団・新村氏に聞く

 女性活躍・ハラスメント規制法が施行され、大企業にパワハラ防止対策が義務付けられて6月1日で1年となる。日本労働弁護団事務局次長の新村響子弁護士に現状と課題を聞いた。

 法施行後も、悪質なパワハラやセクハラは横行している。昨年は新型コロナウイルス感染拡大で、政府による防止啓発や企業の研修が十分実施されなかった。ハラスメントに対する社会の関心や問題意識が薄れていないかと危ぶんでいる。

 大企業の多くが法施行を受け、就業規則に禁止規定を追加したり、相談窓口を明確化したりと対策を強化した。だが、それで終わってはならない。研修などを通じて「ハラスメントを許さない」というメッセージを積極的に伝え、一人一人の行動を変えなければ効果は表れない。来年4月には中小企業の義務化も始まる。単独で研修を行うのは難しい場合もあるので、自治体や公的機関による支援が求められる。

 感染対策としての在宅勤務の広がりは、新しい形の被害も生んだ。「ちゃんと化粧しろ」「子供がうるさい。働く環境を良くしろ」。テレワーク中のこうした要求はハラスメントに当たる可能性もある。周囲に目がない環境はパワハラ、セクハラが起きやすい。

 現行法では、コロナの影響で急速に広がったフリーランスや業務委託で働く人への保護が、正社員に比べて弱い。働き方の自由化を促すなら、防止対策も雇用形態を問わずに整備するべきだ。

 政府には、法律にハラスメントの禁止規定を明記するよう求めたい。現行法による対策は企業頼みの面があり、国の姿勢として禁止を打ち出していない。6月には国際労働機関(ILO)のハラスメント禁止条約が発効する。本来は日本も速やかに条約批准できるよう準備するべきだったが、コロナ禍で議論が深まらなかったのは残念だ。禁止規定は批准のためにも必要だ。(談)

【用語解説】女性活躍・ハラスメント規制法 労働施策総合推進法など5つの関連法を改正する法律。2019年5月に成立した。相談体制整備や被害者ケアといったパワハラ防止対策は、大企業では20年6月から義務化。22年4月からは中小企業にも拡大する。罰則規定はないが、違反企業には行政が勧告し従わない場合は企業名を公表できる。一方、雇用関係がないフリーランスや就活生への防止措置や、顧客からの嫌がらせ「カスタマーハラスメント」への対応は努力義務にとどまっている。

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